明豊

深刻化する高齢化社会を背景に、サービスへの需要拡大などから市場は潤っているかに思える老人福祉業界。しかし、この業界における倒産が今まさにピークを迎えている。東京商工リサーチがまとめた1―6月の「老人福祉・介護事業」倒産状況によると、倒産は前年同期比12・5%増の45件となり、過去最多の記録を更新した。このペースで推移すると、介護保険法が施行された2000年以降で年間最多だった17年の111件を上回る可能性がでてきた。 国内倒産件数は、リーマン・ショックが発生した08年度にピークを迎えたが、09年度以降は中小企業金融円滑化法と同法終了後の実質的な効果延長により、16年度まで8年連続で減少した。 17年度は9年ぶりに前年度を上回り潮目が変わってきたものの、増加率は1・6%にとどまっている。そうした倒産減少基調のなか、全業種を見渡しても今まさに倒産ピークを迎えている業界はほぼ見あたらない。どうしてだろうか。